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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁
校長もどっちかといえば、気が小さく神経過敏に過ぎるのがいやだが、しかしがいして温良な君子で、わる気というようなところは少しもなかった。関さんは例の通りの好人物、大島さんは話し好きの合い口――清三にとってこの小学校はあまりいごこちの悪いほうではなかった。
清三は一人でよくオルガンをひいた。型の小さい安いオルガンで、音もそうたいしてよくはなかったが、みずから好奇に歌などを作って、覚束ない音楽の知識で、譜を合わせてみたりなんかする。藤村詩集にある「海辺の曲」という譜のついた歌はよく調子に乗った。それから若菜集の中の好きな句を選んで譜をつけてひいてもみた。梅雨の降りしきる夕暮れの田舎道、小さなしんとした学校の窓から、そうしたさまざまの歌がたえず聞こえたが、しかし耳を傾けて行く旅客もなかった。
清三の教える室の窓からは、羽生から大越に通う街道が見えた。雨にぬれて汚ない布を四面に垂れた乗合馬車がおりおり喇叭を鳴らしてガラガラと通る。田舎娘が赤い蹴出しを出して、メリンスの帯の後ろ姿を見せて番傘をさして通って行く。晴れた日には、番台を頭の上にのせて太鼓をたたいて行くあめ屋、夫婦づれで編笠をかぶって脚絆をつけて歩いて行くホウカイ節、七色の護謨風船を飛ばして売って歩く爺、時には美しく着飾った近所の豪家の娘なども通った。