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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁
初めの十日間は授業は八時から十時、次の十日間は十二時まで、それから間もなく午後二時の退校となる。もうそのころは秋の気はあたりに満ちて、雨の降る日など単衣一枚では冷やかに感じられた。物思うかれの身に月日は早くたった。
高等学校の入学試験を受けに行った小島は第四に合格して、月の初めに金沢へ行ったという噂を聞いたが、得意の文句を並べた絵葉書はやがてそこから届いた。その地にある兼六公園の写真はかれの好奇心をひくに十分であった。友の成功を祝した手紙を書く時、かれは机に打っ伏して自己の不運に泣かざるを得なかった。
本堂の机の上には乱れ髪、落梅集、むさし野、和尚さんが早稲田に通うころよんだというエノックアーデンの薄い本がのせられてあった。かれは、「響りんりん」という故郷を去るの歌をつねに好んで吟誦した。その調子には言うに言われぬ悲哀がこもった。庫裡の玄関の前に、春は芍薬の咲く小さい花壇があったが、そこにそのころ秋海棠の絵のようにかすかに紅を見せている。中庭の萩は今を盛りに咲き乱れた。
夜ごとの月はしだいにあきらかになった。墓地と畠とを縁取った榛の並木が黒く空に見えて、大きな芋の葉にはキラキラと露が光った。