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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
線上閱讀田山 花袋《田舎教師 他一編(いなかきょうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,097 字 · 312 頁
、肱を枕にして高い鼾をかいていた。その横顔を夕日が暑そうに照らした。額には汗がにじみ、はだけた胸からは財布が見えた。
かれが眼をさましたころは、もう五時を過ぎていた。水の色もやや夕暮れ近い影を帯びていた。清三は銀側の時計を出して見て、思いのほか長く寝込んだのにびっくりしたが、落ちかけていた財布をふと開けてみて銭の勘定をした。六円あった金が二円五十銭になっている。かれはちょっと考えるようなふうをしたが、その中から二十銭銀貨を一つ出して、ラムネ二本の代七銭と、梨子二個の代三銭との釣り銭を婆さんからもらって、白銅を一つ茶代に置いた。
大高島の渡しを渡るころには、もう日がよほど低かった。かれは大越の本道には出ずに、田の中の細い道をあちらにたどりこちらにたどりして、なるたけ人目にかからぬようにして弥勒の学校に帰って来た。
かれの顔を見ると、小使が、
「荻生さんなア来さしゃったが、会ったんべいか」
「いや――」
「行田に行ったんなら、ぜひ羽生に寄るはずだがッて言って、不思議がっていさっしゃったが、帰りにも会わなかったかな」
「会わない――」
「待っていさッしゃったが、羽生で待ってるかもしんねえッて三時ごろ帰って行かしった……」