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しろあり
白蟻
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《白蟻(しろあり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 54,099 字 · 106 頁
けれども、もともと根も葉もない病いのこととて、どう間違っても発病の憂いはないのであるから、当然そういった統計が信者の狂信を煽り立てて、馬霊教の声望はいやが上にも高められていった。ところが、その矢先、当局の弾圧が下ったのである。そして、ついに二年前の昭和×年六月九日に、当時復活した所払いを、いの一番に適用されたので、やもなく騎西一家は東京を捨て、生地の弾左谿に帰還しなければならなくなってしまった。
その夜、板橋を始めにして、とりとめがたい物の響が、中仙道の宿々を駭かしながら伝わっていった。その響は雷鳴のようでもあり、行進の足踏みのようにも思えたけれど、この真黒な一団が眼前に現われたとき、不意に狂わしげな旋律をもった神楽歌が唱い出され、それがもの恐ろしくも鳴り渡っていった。老い皺ばった教主のくらを先頭にして、長男の十四郎、その側に、妙な籠のようなものを背負った妻の滝人、次男である白痴の喜惣、妹娘の時江――と以上の五人を中心に取り囲み、さらにその周囲を、真黒な密集が蠢いていたのである。その千にも余る跣足の信者どもは、口を真黒に開いていて、互いの頸に腕をかけ、肩と肩とを組み、熱意に燃えて変貌したような顔をしていたが、その不思議な行進には佩剣の響も伴っていて、一角が崩されると、その人達はなおいっそう激昂して蒼白く