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すもう
相撲
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《相撲(すもう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,122 字 · 9 頁
三
そうして着物をほころばせたり向こう脛をすりむいては家へ帰ってオナン(おふくろの方言)にしかられていたようである。自分なども一度学校の玄関の土間のたたきに投げ倒されて後頭部を打って危うく脳震盪を起こしかけたことがあった。
三
高等小学校時代の同窓に「緋縅」というあだ名をもった偉大な体躯の怪童がいた。今なら「甲状腺」などという異名がつけられるはずのが、当時の田舎力士の大男の名をもらっていたわけである。しかし相撲は上手でなく成績もあまりよくなかったが一つだれにもできぬ不思議な芸をもっていた。それは口を大きくあいて舌を上あごにくっつけておいて舌の下面の両側から唾液を小さな二条の噴水のごとく噴出するという芸当であった。口から外へ十センチメートルほどもこの噴水を飛ばせるのはみごとなものであった。一種のグロテスクな獣性を帯びたこの芸当だけはだれにもまねができなかった。これを噴きかけられるのを恐れて皆逃げ出したものである。
中学時代に相撲が好きで得意であったような友人の大部分は卒業後陸軍へはいったが、それがほとんど残らず日露戦役で戦死してしまって生き残った一人だけが今では中将になっている。