輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ちちぶきこう
知々夫紀行
幸田 露伴
線上閱讀幸田 露伴《知々夫紀行(ちちぶきこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,784 字 · 31 頁
荒川橋とて荒川に架せる鉄橋あり。岸高く水遠くして瀬をなし淵をなし流るる川のさまも凡ならぬに、此方の岩より彼方の岩へかかれる吊橋の事なれば、塗りたる色の総べて青きもなかなかに見る眼厭わしからず、瑞西あたりの景色の絵を目のあたり此処に見る心地す。贄川は後に山を負い前に川を控えたる寂びたる村なれど、家数もやや多くて、蚕の糸ひく車の音の路行く我らを送り迎えするなど、住まば住み心よかるべく思わるるところなり。昼食しながらさまざまの事を問うに、去年の冬は近き山にて熊を獲りたりと聞き、寒月子と顔見合わせて驚き、木曾路の贄川、ここの贄川、いずれ劣らぬ山里かな、思えば思い做しにや景色まで似たるところありなどと語らう。
贄川を立ち出でて猪の鼻を経、強石に到る。贄川より隧道を過ぐるまでの間、山ようやく窄り谷ようやく窮まりて、岨道の岩のさまいとおもしろく、原広く流れ緩きをもて名高き武蔵の国の中にもかかるところありしかと驚かる。されど隧道を過ぐれば趣き変りて、兀げたる山のみ現れ来るもおかし。上りつ下りつして強石を過ぎ、川のほとりにいたる。川のむかいは即ち三峰にて、強石は即ち多くの地図に大滝と見えたる村の小名なり。