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いしべいゆうれい
石塀幽霊
大阪 圭吉
線上閱讀大阪 圭吉《石塀幽霊(いしべいゆうれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,907 字 · 26 頁
チンドン屋は、事件の後から通った筈だ。……まるで理窟になっとらん!
蜂須賀巡査は苛立たしげに立上った。
――そうだ。兎に角、一度チンドン屋に当ってみよう。そしてあのチンドン屋が、ひょっと犯行の前にも此処を通ったかどうか? まずあり得ない筈だが、念のために確かめてみよう。
そこで蜂須賀巡査は秋森家を出て、石塀沿いに東の方へ歩きだした。
――若しも、思った通りチンドン屋が、犯行後にビラを投げ込んだのが確かであったなら……あの犯人の足跡は……そうだ。恐ろしい罠だ。恐ろしい詭計だ……。
蜂須賀巡査は、考え考え歩き続けた。ところが、茲ではからずも蜂須賀巡査は、またしてもひとつの不可解な問題にぶつかってしまった。
恰度秋森家の表門の前の犯行の現場まで来ると、何に驚いたのか蜂須賀巡査は不意に立停ってしまった。そしてじっと前方を見詰めたまま、頻りに首を傾げ始めた。が、やがていまいましそうに舌打すると、少からず取乱れた足取で大股に歩き始めた。そしてアパートの前まで来ると、さっさと玄関へ飛び込んで、受付へ、
「吉田雄太郎君を呼んで呉れ給え」
と云った。
訊問の立会で神経がくたくたに疲れてしまった雄太郎君は、自分の室で思わずうつらうつらしていたが、吃驚して飛び起きると大急ぎで階段を降りて来た。