輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

線上閱讀本庄 陸男《石狩川(いしかりがわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 頁

青空文庫

「それは勿怪の幸いというもの、売れるに相違ない――おお、そう、そう――」と彼は東京から廻って来た阿賀妻の手紙を憶いだした。「ついでにこれを渡してくれんか、この表書きのご仁は、世が世であれば一国のご家老である身分の方、粗そうないように渡して貰いたい」

書状はここで停っていた。好意をもって送られるもので、役所は、この雪を漕いで届けなければならぬ義務は無かった。だから、この行商人の出現は、渡りに舟であった。

「たしかにお預りしました、承知いたしました」

越後から来た行商人はうやうやしげにおし戴いて見せた。彼はまた腹のなかで、これを伝手に商売をしようとぬけめなくそろ盤をはじいていた。

――これより他には、わざわざ身体を運んで行く以外に、思いを通ずる方法は無かった。だから、そうして届いた書状には、千万の、無量の思いが宿っていた。

瞼の硬ばるほど冷たい風が吹いていた。歩いているうちには視界のけじめも消えてしまうほど、白くてひろい。イシカリの原野は雪で埋めつくされている。日が照っている。越後の鋸売りは、目鼻だけ出してすぽッと首から上を包む頭巾に身をかためていた。