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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《神秘昆虫館(しんぴこんちゅうかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,803 字 · 213 頁

青空文庫

「南部氏だな、声で解る。拙者は一式小一郎、貴殿にとっては怨みあるもの。拙者にとっても怨みがある。小梅田圃では意外のことから、せっかくの果たし合いが中折れ致した。あの夜の続き、今日こそ果たそう。さて次に」と小一郎は、ここで一段声を張ったが、「一ツ橋家の爾余の方々、お互い私怨とてはござらぬが、拙者は田安家のまず家臣、貴殿方は一ツ橋殿の家臣、近来田安家と一ツ橋家、各※(二の字点、1-2-22)方にもご存知通り、事ごとに競争致しております。そこで」と云うと小一郎は投げたような調子に言葉を変えた。

「お館同志の競争は、家臣同志の競争でござる。そいつが迫り合うと喧嘩になる。喧嘩のどんづまりは果たし合い! これはもうもう決まった話だ。そこで喧嘩! そこで果たし合い! 勝負だア――」

と威嚇的に叫んだ。それからじいいっと耳を澄ました。向うからは何んの返辞もない。だが何んとなく騒がしい。どうやら用意をしているらしい。

「敵は多勢、俺は一人、多少詭計を用いずばなるまい」こう考えた小一郎はわざと厳めしく声をかけた。「拙者は大岩のこっちにおる。いつまでもここでお待ち受け致す。