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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《神鷺之巻(しんろのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,672 字 · 54 頁
「さ、その白ッこい、膏ののった双ももを放さっしゃれ。獣は背中に、鳥は腹に肉があるという事いの。腹から割かっしゃるか、それとも背から解くかの、」と何と、ひたわななきに戦く、猟夫の手に庖丁を渡して、「えい、それ。」媼が、女の両脚を餅のように下へ引くとな、腹が、ふわりと動いて胴がしんなりと伸び申したなす。
「観音様の前だ、旦那、許さっせえ。」
御廚子の菩薩は、ちらちらと蝋燭の灯に瞬きたまう。
――茫然として、銑吉は聞いていた――
血は、とろとろと流れた、が、氷ったように、大腸小腸、赤肝、碧胆、五臓は見る見る解き発かれ、続いて、首を切れと云う。その、しなりと俎の下へ伸びた皓々とした咽喉首に、触ると震えそうな細い筋よ、蕨、ぜんまいが、山賤には口相応、といって、猟夫だとて、若い時、宿場女郎の、※もかしくも見たれど、そんなものがたとえになろうか。……若菜の二葉の青いような脈筋が透いて見えて、庖丁の当てようがござらない。容顔が美麗なで、気後れをするげな、この痴気おやじと、媼はニヤリ、「鼻をそげそげ、思切って。ええ、それでのうては、こな爺い、人殺しの解死人は免れぬぞ、」