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しんろのまき

神鷺之巻

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《神鷺之巻(しんろのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,672 字 · 54 頁

青空文庫

時に、その年は、獲ものでなしに、巣の白鷺の産卵と、生育状態の実験を思立たれたという。……雛ッ子はどんなだろう。鶏や、雀と違って、ただ聞いても、鴛鴦だの、白鷺のあかんぼには、博物にほとんど無関心な銑吉も、聞きつつ、早くまず耳を傾けた。

在所には、旦那方の泊るような旅館がない。片原の町へ宿を取って、鳥博士は、夏から秋へかけて、その時々。足繁くなると、ほとんど毎日のように、明神の森へ通ったが、思う壺の巣が見出せない。

――村に猟夫が居る。猟夫といっても、南部の猪や、信州の熊に対するような、本職の、またぎ、おやじの雄ではない。のらくらものの隙稼ぎに鑑札だけは受けているのが、いよいよ獲ものに困ずると、極めて内証に、森の白鷺を盗み撃する。人目を憚るのだから、忍びに忍んで潜入するのだが、いや、どうも、我折れた根気のいい事は、朝早くでも、晩方でも、日が暮れたりといえどもで、夏の末のある夜などは、ままよ宿鳥なりと、占めようと、右の猟夫が夜中真暗な森をううちに、青白い光りものが、目一つの山の神のように動いて来るのに出撞した。けだし光は旦那方の持つ懐中電燈であった。