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かていしゅうかんのおしえをろんず

福沢諭吉家族論集

福沢 諭吉

線上閱讀福沢 諭吉《福沢諭吉家族論集(かていしゅうかんのおしえをろんず)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,942 字 · 66 頁

青空文庫

この一点において我輩が見る所を異にすると申すその次第は、敢えて論者の道徳論を非難するにはあらざれども、前後緩急の別について問う所のものなきを得ざるなり。

世界開闢の歴史を見るに、初めは独化の一人ありて、後に男女夫婦を生じたりという。我が日本において、国常立尊の如きは独化の神にして、伊奘諾尊、伊奘冊尊は則ち夫婦の神なり。西洋においても、先ずエデンの園に現われたる人はアダムにして、後にイーブなる女性を生じ、夫婦の道始めて行われたるものなり。さてこの独化独生の人が独り天地の間に居るときに当たりては、固より道徳の要あるべからず。あるいは謹んで天に事うるなどのこともあらんなれども、これは神学の言にして、我輩が通俗の意味に用うる道徳は、これを修めんとして修むべからず、これを破らんとして破るべからず、徳もなく不徳もなき有様なれども、後にここに配偶を生じ、男女二人相伴うて同居するに至り、始めて道徳の要用を見出したり。その相伴うや、相共に親愛し、相共に尊敬し、互いに助け、助けられ、二人あたかも一身同体にして、その間に少しも私の意を挟むべからず。即ち男女居を同じうするための要用にして、これを夫婦の徳義という。