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わたしがちょうさくりんをころした

私が張作霖を殺した

河本 大作

線上閱讀河本 大作《私が張作霖を殺した(わたしがちょうさくりんをころした)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,564 字 · 18 頁

青空文庫

大正十五年三月、私は小倉聯隊附中佐から、黒田高級参謀の代りに関東軍に転出させられた。当時の関東軍司令官は白川義則大将であったが、参謀長も河田明治少将から支那通の斎藤恒少将に代った。

そこで、久しぶりに満洲に来てみると、いまさらのごとく一驚した。

張作霖が威を張ると同時に、一方、日支二十一カ条問題をめぐって、排日は到る処に行われ、全満に蔓っている。日本人の居住、商租権などの既得権すら有名無実に等しい。在満邦人二十万の生命、財産は危殆に瀕している。満鉄に対しては、幾多の競争線を計画してこれを圧迫せんとする。日清、日露の役で将兵の血で購われた満洲が、今や奉天軍閥の許に一切を蹂躙されんとしているのであった。

しかるに、その張作霖の周囲に、軍事顧問の名で、取り巻いて恬然としている者に、松井七夫中将を始め、町野武馬中佐などがあって、在満同胞二十万が、日に日に蝕まれていくのを冷然と眺めているばかりか、「みんな、日本人が悪いのだ」とさえ放言して顧みない。そして唯、張作霖の意を迎えるにもっぱらである。

自分は、まったく呆然とした。支那の各地を遍歴してかなり排日の空気の濃厚な地方も歩いたが、それにしても、満洲ほどのことはない。