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わたしのぶんがく
私の文学
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《私の文学(わたしのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,405 字 · 5 頁
私は孤独と放浪を書きつづけているうちに、ついに私自身、孤独と放浪の中へ追い込まれてしまったが、孤独と放浪という任意の一点を設定した瞬間すでにその一点は、私にとっては宿命的なものだったのだ。だから、私は今私を孤独と放浪へ追いやった私の感受性を見極めてこれを表現しようと思っている。そしてまた、私をそうさせた外界というものに対決しようと思う。これらは、文学でのみ出来る仕事だからだ。この点、私は幸福をすら感じている。
私がしかし、右の仕事を終った時どうなるか。私が目下書きまくっている種類の作品を書きつくした時、私は何を書くべきか、私には今はっきりとは判らない。が、しかし私はその時から、私の本当の文学がはじまるのではないかと思っている。私が今、書きまくっているのは、実は私の任意の一点であり、かつ宿命的であったものから早く脱けだしたいためである。書きつくしたいのだ。反吐を出しきりたいのだ。
そのあとには何にも残らないかも知れない。おそるべき虚無を私はふと予想する。しかし私は虚無よりの創造の可能を信じている。本能を信じているのではない。私には才能なぞない。私ごとき才能のない人間が今日作家として立って行けるのは、文壇のレベルが低いからだ。