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わたしのけいかしたがくせいじだい
私の経過した学生時代
線上閱讀夏目 漱石《私の経過した学生時代(わたしのけいかしたがくせいじだい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,107 字 · 10 頁
英語を修めていぬから、当時の予備門に入ることが六カ敷い。これではつまらぬ、今まで自分の抱いていた、志望が達せられぬことになるから、是非廃そうという考を起したのであるが、却々親が承知して呉れぬ。そこで、拠なく毎日々々弁当を吊して家は出るが、学校には往かずに、その儘途中で道草を食って遊んで居た。その中に、親にも私が学校を退きたいという考が解ったのだろう、間もなく正則の方は退くことになったというわけである。
二
既に中学が前いう如く、正則、変則の二科に分れて居り、正則の方を修めた者には更に語学の力がないから、予備門の試験に応じられない。此等の者は、それが為め、大抵は或る私塾などへ入って入学試験の準備をしていたものである。
その頃、私の知っている塾舎には、共立学舎、成立学舎などというのがあった。これ等の塾舎は随分汚いものであったが、授くるところの数学、歴史、地理などいうものは、皆原書を用いていた位であるから、なかなか素養のない者には、非常に骨が折れたものである。私は正則の方を廃してから、暫く、約一年許りも麹町の二松学舎に通って、漢学許り専門に習っていたが、英語の必要――英語を修めなければ静止していられぬという必要が、日一日と迫って来た。