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わたしはだれ?

私は誰?

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《私は誰?(わたしはだれ?)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,584 字 · 14 頁

青空文庫

惨又惨。私は尾崎士郎の決闘に打ち負かされた次第である。

先輩に対する礼を知らん奴だ、という。全く小説書きは馬鹿げたことを言う。長脇差みたいなことを言う。ソクラテスをやっつけると、プラトンだのアリストテレスがコン棒もって御殿山へ乗り込むのさ。先日太宰治をひやかしたら、彼は口惜しがって、然し、あんたは先輩だから、カンベンしてやる、と仰有った。全く愉快千万。小説書きという奴は、かくの如くトンチンカンで、妙チキリンに古風で、首尾一貫していない。トンマなことばかり喋っているので、だから、書くものだけを読むのさ。本人は魂のぬけがらだ。

★

私は何を書こうとしていたのだろう? 然り、然り。私は深刻はいやだ、と言いはっていたのだ。けれども私は理論的に言う術を知らないので、なんとなく、駄弁によって、ごまかしてしまう魂胆であったらしい。だが、だめだ。読者よりも、かく云う私自身をごまかすことが出来ないのだもの。けれども、私自身が、深刻な存在でないことだけは事実なのだ。

私は屋根裏だの居候だの夜逃げだの、時にはたしかに息つまる思いで、それはそうさ、借金のサイソクには虎をかぶっても心臓は心細いだろう。