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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁
――師直はその閉門中もただ安閑としていたわけではなかったのだ。師泰との打合せだけでなく、在京在国の武家仲間へも極秘に款を通じて、きょうという日を、充分な用意のもとに待機させていたのである。
それの証明は、やがて、夜に入るや、ぞくぞくと、諸方から駈け集まって来たおびただしい諸家の兵馬に見ることができ、法成寺の兵をあわせれば、それは一万五、六千の一陣営をなしていた。
もっとも、この半日半夜、洛内の路上にあふれた兵馬が、みな師直がたへばかり殺到していたわけではない。中には「――すわ」とばかり迷いもなく、錦小路殿(直義の邸)の方へ駈けつけてゆくのもあり、そこにはすでに、上杉重能、畠山直宗、その他、日ごろ称して、副将軍直参の宗徒といっている面々がひしひし、附近をかためていた。
とはいえ、直義の許に駈けつけた者と、師直方に応じた武士とをくらべれば、直義方は、はるかに少なく、一方の半分以下にもたりなかった。日ごろの人気とはあてにならないものである。決票の数は逆な現れを見せたのだった。
「後手を食った。飼犬に手を咬まれた!」
直義は地だんだをふんだ。準備、兵力、すべてに抗しえぬことも明白でありすぎる。