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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

つきましては、即刻の上洛を思うこと、心も矢竹にございますが、奥羽一たい、乱麻の状にて、余賊、容易に平定せず、さきに新田義貞からも、しきりな急使を受けておりますものの、いかにせん賊徒平定の謀に、日夜、心をくだくのみで、遅々と、延引いたしおりますこと、真に、われながら鬱々の感にたえません。

しかしながら、綸旨を拝して、将卒共に、勇気百倍いたしました。きっと一日も早く馳せ上りまする。そして天下の逆賊を掃い、君辺の害を清めて、昭々の御代を恢復せずにはおきません。八幡、燃ゆる心でおります。委細は上洛のときとし、まずは君前よろしく御披露のほどを。

顕家(花押)

人々御中

今は、その時からもう八ヵ月も経過していた。東北にはすでに早い秋が訪れている。

「行こう! 万難を排して」

顕家は決意した。――断ジテ行クトコロ鬼神モ避ク――とは、おそらく、そのときの彼の胸中であったろう。

その顕家は、奥羽の鎮守府大将軍という肩書こそかがやかしいが、年は、ことしちょうど二十歳にすぎない。

そして、上にいただく義良親王は、十一だった。

十一歳の皇子を擁するまだ二十歳の若き将軍は、ここに、