輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

けれど生まれたのは、千早籠城の食べ物もない中だった。

卯木の兄正成が、一族すべてをつれて立て籠ったため、彼女も良人と共に籠城の辛酸をなめ、清次はそこで呱々の声をあげたのである。――だから生まれながら修羅矢たけびの中に怯え、母乳も出ぬほどだったし、はたして人なみにこの子が育つか否かさえもあやぶまれたことであった。

「それが」

と、卯木は現在の清次を、身のそばにかえりみながら。

「このような成人を見ましたのは、まったく兄正成どののお慈悲と、芸一ト筋に生きて来た賜物でございました。いえ、すべては観世音菩薩の御庇護であったのでございましょう……」

それからそれへ話は果てる模様もなかったのである。ところが、座役たちはそろそろ帰りの時刻を案じだしていた。

というのは今夜、職屋敷に職位四階以上の者だけが寄って、故等持院殿(尊氏の法号)どのに関する思い出や世評是々非々にたいする検校の意見なども伺い、かたがた琵琶の一曲を霊前にささげようではないかという申し合せをしていたのだった。

「それよ」

覚一は、卯木たちへ、急に思い出したふうで言った。

「今宵、私たちは私たちなりの琵琶供養を職屋敷の内で営みたいと存じております。