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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 頁

青空文庫

に、任命した。

そしてまた、中原親秀や左衛門ノ尉資直らが技師となって、その広大な地域さだめの縄取りとなった当日には、尊氏は、みずから臨んで、設計に立ち会い、夢窓国師の原案を練った。

しかし、こうして発足はしたが、それはたちまち、天台の本山、叡山の大反対をよびおこした。

「時もあろうに」

と、叡山側でも、民の塗炭のくるしみを、反対の理由にとった。

「疫病、飢饉、盗賊の横行、民は飢えつかれている。みなこれ戦乱のせいだ。しかるに、そのうえにも、戦乱の張本人足利殿へ媚びて、味噌すり坊主の夢窓が、禅家の権力をひろげんとし、かつは自己宣伝のため、一大寺を造営せんなどとは、言語道断だ」

ごうごうと、こう誹る声もあり、また、

「一禅寺に、暦応の年号を謳うなども、以てのほかな僭上だ。ゆらい年号を寺名に冠する寺は、国家第一の比叡山延暦寺のごとき勅願寺のほかは、ゆるさるべきものではない」

と、大岳の鐘を鳴らして、嗷訴の気勢をあげるやら、造営奉行の高ノ師直の屋敷へ押しかけて、石を投じたり、落書するなど、物情騒然のうちに年も暮れた。

で、ついに朝廷と幕府でも折れて、寺名を変更し、あらためて天龍寺とよぶことに修正して、彼らをなだめた。