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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《秋の駕籠(あきのかご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 頁
二人とも崩れるようなにこにこ顔で、気も浮きあがるというようすだった。
「禍い転じて福となるってのはこのことだな」六助が云った、「あの米村の手代って人はよっぽど嬉しかったらしい」
「金がそっくり返ったんじゃねえか」中次はわざと冷淡そうに云った、「諦めていた金がそっくり返ったんだ、このくらいのことはあたぼうだ」
「だっておめえ十両だぜ、箱根までいって五両、それが倍になったんだ、盗めば首の飛ぶ高だぜ」
「驚くにゃあ当らねえ」中次が云った、「五両が十両になるのもあたぼうだ、事の起こったのがおめえ大磯じゃねえか」
「大磯ならどうしてあたぼうだ」
「大磯は曽我兄弟に縁のある土地だろう、とすればおめえ五りょう十りょうだ」
「この野郎」と六助が喚いた。
「ざまあみろ」と中次が笑った。街道には馬の鈴が平穏に聞えていた。