輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しゅうふうき

秋風記

太宰 治

線上閱讀太宰 治《秋風記(しゅうふうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,011 字 · 17 頁

青空文庫

」

私も、それを思っていたのだ。

Kは、湯槽にからだを、滑りこませて、

「紅葉って、派手な花なのね。」

「ゆうべは、――」私が言い澱むと、

「ねむれた?」無心にたずねるKの眼は、湖水のように澄んでいる。

私は、ざぶんと湯槽に飛び込み、「Kが生きているうち、僕は死なない、ね。」

「ブルジョアって、わるいものなの?」

「わるいやつだ、と僕は思う。わびしさも、苦悩も、感謝も、みんな趣味だ。ひとりよがりだ。プライドだけで生きている。」

「ひとの噂だけを気にしていて、」Kは、すらと湯槽から出て、さっさとからだを拭きながら、「そこに自分の肉体が在ると思っているのね。」

「富めるものの天国に入るは、――」そう冗談に言いかけて、ぴしと鞭打たれた。「人なみの仕合せは、むずかしいらしいよ。」

Kはサロンで紅茶を飲んでいた。

雨のせいか、サロンは賑っていた。

「この旅行が、無事にすむと、」私は、Kとならんで、山の見える窓際の椅子に腰をおろした。「僕は、Kに何か贈り物しようか。」

「十字架。」そう呟くKの頸は、細く、かよわく見えた。

「ああ、ミルク。」女中にそう言いつけてから、「K、やっぱり怒っているね。