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かがくとぶんがく
科学と文学
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《科学と文学(かがくとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,562 字 · 50 頁
もっとも、こういう体験記は「創作」でないという説もあるかもしれないが、そういうことになれば、現代わが文壇でポピュラーな小説的作品中の多数のものはやはりもはや小説でなく創作でなくなるのである。創作とは空想と同義ではない。題材の取り扱いの上に作者の独創があるか無いかが問題になるのである。ゲーテの「イタリア紀行」は創作であり、そこらの三文小説は小説ではないことは事新しく言うまでもないことである。
こういうふうに考えて来るといわゆる「創作」と随筆との区別は、他の多くの「分類」の場合と同じく、漸移的不決定的なものである。ただ便宜上、いわゆる小説家戯曲家の書いた「多少事実と相違するらしいもの」が創作小説と名づけられ、小説家以外のものまた小説家でも「ほんとうにあったこと」と人が認めるものを書いたものが随筆の部類に編入される、というのが実際の事相であるように見える。
こういう見方を進めて行くと、結局、いわゆる創作とは、つじつまを合わせるために多少の欺瞞を許容したこしらえものの事であり、随筆とは筆者の真実、少なくも主観的真実を記録したものであるというふうにも見られる。