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かがくのじょうしきのため

科学の常識のため

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《科学の常識のため(かがくのじょうしきのため)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,479 字 · 19 頁

青空文庫

それとともに冨山房の百科全書の「言語地理学」は、あながち言語学者だけによまれるための本ではないであろう。

太古のエジプトでは、僧侶が人の病をいやす役目もはたしていたという文明の発端から、人類の医療の父として語られるヒポクラテスの話におよびさらに、ウィリアム・ハーヴェーの血液循環の発見があり、やがてパストゥールによって細菌が発見されたのも、ジェンナーの種痘の試みも、モルトンによる麻睡薬の試用も、すべて十九世紀の人々の偉業であるということは、日本の徳川末期に、シーボルトその他によって西洋医学が導き入れられ、菊池寛の小説「蘭学事始」のような情景をも経て今日の医療に至った歴史とてらし合わせて、尽きぬ味わいがある。冨山房の百科全書で出されている「ロベルト・コッホ」「緑の月桂樹」(西洋の科学者たち)岩波新書の「メチニコフの生涯」はいずれも、それぞれ感銘浅くない本である。「ベルツの日記」(岩波)「日本その日その日」(冨山房)は明治開化期の日本の文化のありようと、後に日本の科学の大先輩として貢献した人々の若き日の真摯な心情とを、医学者としてのベルツ、生物学者としてのモールスが記述していて、文学における小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)、哲学のケーベル博士、美術のフェノロサの著述とともに、私たちにとって親愛な父祖たちの精神