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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
線上閱讀海野 十三《空襲警報(くうしゅうけいほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,838 字 · 92 頁
駅員の制止も聞かばこそ、改札口をやぶり、なだれをうって一部はプラットホームに駈けあがり、そこに停車していた列車にわれがちに乗りこんだが、そこでも百人近い死傷者が出た。
列車の中にはいれない人は、窓の外にぶら下り、屋根の上によじのぼった。
それは地獄絵巻のように、醜くも恐ろしい光景だった。……そんなに努力して乗りこんだのはいいが、列車は遂に発車しなかった。防衛司令部が警備の目的のため、列車の出発を中止させたのだ。
ところが、悪いときには悪いことが重なるもので、そのうちに、こちらへ廻って来た敵機が、おびただしい爆弾と、焼夷弾とを投げおとして、新宿駅のまわりは、たちまち火の海となってしまった。
消防隊も、防護団も、ぎっしりの群衆に邪魔されて手の下しようがなく、アレヨアレヨと、死人のふえるのを見ていなくてはならなかった。
まったく恐ろしいのは共同の精神をうしなった群衆だった。
敵機は去ったが
「ウム、また次のやつが来るかも知れない。六十三機というのが、さっきは三機だけだったからな。まだ油断はならんぞ!」
防護団といわず、女子供といわず、みな不安にみちた眼をあげて空を仰いでいる。