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かぜのまたさぶろう

童話集 風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《童話集 風の又三郎(かぜのまたさぶろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,657 字 · 113 頁

青空文庫

おおい。」

一郎のにいさんと一郎が、とつぜん目の前に立ちました。嘉助はにわかに泣き出しました。

「捜したぞ。あぶながったぞ。すっかりぬれだな。どう。」一郎のにいさんはなれた手つきで馬の首を抱いて、もってきたくつわをすばやく馬のくちにはめました。

「さあ、あべさ。」

「又三郎びっくりしたべあ。」一郎が三郎に言いました。三郎はだまって、やっぱりきっと口を結んでうなずきました。

みんなは一郎のにいさんについて、ゆるい傾斜を二つほどのぼり降りしました。それから、黒い大きな道について、しばらく歩きました。

稲光りが二度ばかり、かすかに白くひらめきました。草を焼くにおいがして、霧の中を煙がぼうっと流れています。

一郎のにいさんが叫びました。

「おじいさん。いだ、いだ。みんないだ。」

おじいさんは霧の中に立っていて、

「ああ心配した、心配した。ああよがった。おお嘉助。寒がべあ、さあはいれ。」と言いました。嘉助は一郎と同じようにやはりこのおじいさんの孫なようでした。

半分に焼けた大きな栗の木の根もとに、草で作った小さな囲いがあって、チョロチョロ赤い火が燃えていました。

一郎のにいさんは馬を楢の木につなぎました。