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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《笑う悪魔(わらうあくま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,687 字 · 55 頁

青空文庫

「大丈夫だろうか、美保子さんは?」

「根が丈夫だから、恐らく間違いはあるまい、気になるなら、午後又覗いて見るが宜い、――おや、あれは?」

「兄の潮田春樹君だ」

大あわてで自動車から飛降りて、病院の玄関へ駆けて行く潮田春樹を、千種十次郎は横側から呼留めました。

「潮田君」

「千種君か、――妹がどうかした相で、会社へ電話が掛って飛んで来たが」

潮田春樹はひどくあわてて居ります。

「今朝君が見舞に来た相じゃないか」

「会社へ行く道序に、時々寄って見るんだ、今朝来たのは九時頃かな、――十分ほどで帰ったが――」

「それじゃ、大事にしたまえ、僕も午後又覗いて見るが」

「有難う」

「あ、――ところで貴方が今朝美保子さんの見舞に来られた時、廊下で誰かに逢った記憶はありませんか」

花房一郎は、急ぎ足に背をみせた潮田春樹を呼留めました。

「そう言えば逢ったような気がしますが、――電気のメートル調べか、瓦斯会社の集金人か、兎も角カバンを提げて詰襟の服を着た中年男に廊下で逢ったような気がしますが」

「有難う、それは大変大事なことでした」

花房一郎は丁寧に礼を言って、潮田春樹を玄関の中に見送ると、千種十次郎を眼でさし招いて、病院の裏の方に廻りました。