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かさおりはんくろう

笠折半九郎

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《笠折半九郎(かさおりはんくろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,004 字 · 26 頁

青空文庫

「恐入ります、些かとりのぼせまして」

「それでどうした、始末を申してみい」

「恐れながら……」

半九郎は腋の下に汗をかいて平伏した、思いも懸けぬことを突込まれて、ちょっと言句に詰ったのである。

「申してみい、果合いの始末をどうした」

頼宣はたたみかけて促した。

半九郎は平伏したまま始終の事を述べた、頼宣は黙って聴いていた。半九郎の言葉が終ってからも、暫くのあいだ黙っていた。……自分の口から仔細を述べるうちに、半九郎は悔恨と自責の念が新しく甦って来るのを感じ、黙っている頼宣の無言の叱責が、千貫の重さで頭上へのしかかるように思えた。

「友達というものは有難いものだな」

頼宣がやがて感慨の籠った声で云った。

「小次郎は思慮の深いやつだ、しかし小次郎だけが秀でているとは云わぬ、友達の情の美しさだ、おろそかに思ってはならぬぞ半九郎」

半九郎は噎びあげていた。

「その方は一徹で強情が瑾だ、そこが良いところでもあるし、また禍を招く素でもある、もう少し分別を弁えぬといかんぞ」

そう云って頼宣は立った。

火事場のことについては一言の沙汰もなかった。半九郎はむろんそんなことは意に留めなかった。