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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

線上閱讀菊池 寛《第二の接吻(だいにのせっぷん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 頁

青空文庫

「京子さん。何時頃帰っていらっしゃるのです。」

「六時頃。」

「じゃ、僕ものせて行ってくれませんか。海浜ホテルにいる外人に、ちょっと用談があるんですがね。」

「迷惑だわ。」

「そんなにおっしゃらないで。」

「そう! じゃ、仕方がない。乗っていらっしゃい。」

二人は、連れ立って自動車で出かけた。

倭文子は、一人取り残されることが、どんなに迷惑に思ったか。だが、こんな場合、彼女はただだまって、京子のすることを見ているほかはなかった。

日が暮れるまで、彼女はベランダへ出て海を見ていた。別荘の下の海には、黒い岩が、いくつもいくつも突き出していた。三四日前海が暴れた揚句なので、海草が岩にからんで一杯に浮いていた。風がなくても、大洋を受けているので、岩に砕ける波が、すさまじい音を立てて、白いしぶきを絶えずあげた。

倭文子は、宮田がなるべく遠くにいてくれればいいと思った。彼女は、別に宮田を嫌う理由もなかったし、また嫌ってもいなかったが、親しくない男性、しかも縁談などのあるだけに、傍へ来られるのは嫌だった。そうして倭文子の身構えが、宮田にそれとなく感ぜられると見え、彼もあえて近づこうとはしなかった。