輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こうばいのきゃく

紅梅の客

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《紅梅の客(こうばいのきゃく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,574 字 · 15 頁

青空文庫

あるとき私が、終戦直後の“橋場せんべい”のうれしかったことから『いちどいまの吉原へも行ってみようよ』と言ったら、せい子も栄太郎も口をそろえて『およしなさいよ、来て下さんな、来てもらいたくないわ』と、きっぱり言った。

以前から私は、女運というか、極道運とでもいおうか、吉原の女でいやなやつだと思ったのにぶつかったことがない。泉鏡花が日本橋の女を、永井荷風が玉ノ井の女を、あんなにいとしく書いているのに、吉原の女はなぜかあまりほかの作家にも書かれずにしまった。水々しい吉原絢燗期の女は、江戸戯作者の筆になるころもう燃えつきてしまい、ぼくらが書生時代に嗅いだ吉原は、すでに古雛のカビの美でしかなかったものか。だが、それでいてさえ吉原の創設者、床司甚内からの色道芸術化のこころみは江戸文化と結合しあって、無知な薄命といわれる幾多女たちのうえにさえ一種の気質を作っていたといえるのだった。たとえば、ぼくらの若い日といえど、ひと口に吉原とは、ぼる所、だます所、恐い所の「悪所」と呼びなされていたものだが、私はかつて、いちどもそんな目にあったことはなかった。もっとも、いつだって素寒貧な書生だったせいでもあろうが、だからといって蔑まれたこともない。