輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こうばいつきげ
紅梅月毛
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《紅梅月毛(こうばいつきげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,869 字 · 32 頁
阿市はうち返すように云った、「そのつもりで手まわりの物も持ってまいりました、わたくしと下女二人、お長屋さえ拝借ねがえましたらほかに御迷惑はおかけ致しませぬ、どうぞよろしくおたのみ申します」いかにも大身の育ちらしく、はきはきときめどこをきめてゆく態度は気持のいいほど爽快だった、半之丞はしばらく感嘆するように娘の顔を見ていたが、やがて「では支度をさせましょう」と云って立ちあがった。
長屋には三人の家士と和助兄妹が住んでいた。かれらはすぐに半之丞の住居のほうへ移り、そのあとへ阿市と二人の下女がはいった。手まわりの物というのが馬に三駄もあり、下女たちの持物さえ二駄あった。侍長屋とはまるでそぐわない大仰な荷おろしのありさまを見ていた家士のひとりが、「まるでお輿入れのようだな」と呟いた。するともうひとりが、「本当にそうなるかも知れぬぞ」と笑いながら云った、「なにしろ当時うちのご主人は娘をもった親たちの覘いの的だからな」「ではあの牡丹は婿ひきでか」そんなことを囁きあい、三人ともわが事のように昂奮した眼を輝かしていた。……少しはなれて見ていたお梶は、家士たちの話を耳にするとさっと顔色を変えた、そして逃げるように厨口のほうへと去っていった。