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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 頁
第一雪子は諒解してくれるとしても、渋谷へ帰って来たばかりで又慌しく関西へ立つ口実がない。とすると、この場合お春を一と足先に立たせるのが、最も自然で、当り障りのない方法である。無論お春に何も打ち明けるのではないが、妙子の側にお春がいてくれたら、板倉の来訪を防止することは出来ない迄も、二人の接近を牽制するぐらいの効能はあろうか。
―――幸子はしかし、お春がひどく口の軽い女であることを思うと、この最後の策を用いるのをも躊躇した。お春を介在させるとして、二人の間に何の怪しいこともなかった場合にはよいが、何かしら彼女に感付かれるような行為があったとしたら、あのおしゃべりがどんな噂を方々へ撒き散らさないものでもない。それでなくてもそう云うことには割に気の廻る女であるから、自分が何のために一と足先に帰らされたかと云うことを、自然考え付くかも知れない。それにあの女では却って妙子達に買収されそうな心配もある。愛想がよくて如才がない代りには、そう云う誘惑には懸り易いたちであるから、あの口の巧い板倉などには直ぐ丸め込まれるであろう。そんな風に思って来ると、幸子はどうしてもこの事件を他人任せにはして置けなかった。