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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 頁
彼女が次にしたことは、渾身の力を振って、水で固くなっている窓を、―――彼女はたった今それを上へ突き上げようとしていたのであるが、逆に下へおろして、体を出せるだけ開けることであった。彼女は辛うじてそこを開けた。と、眼の前に板倉の手が伸びて来たので、上半身を乗り出して、右手でそれを掴まえた。同時に体が凄じい勢で激流に浚われかけた。左手はまだしっかりと窓の金具を握っていたけれども、その手が今にも金具を放しそうになった。そっちの手を放しなさい、と、板倉が始めて物を云った、―――こっちの手を持ってたげるよって、そっちを放しなさい、―――妙子は運を天に任せて云われる通りにした。一瞬間、板倉の腕と妙子の腕とが鎖を伸ばしたように一杯に伸び、下流へ向って押し流されて行くかと見えたが、次の瞬間に、板倉が妙子の体をぐっと手許へ引き寄せた。(それは自分にもよくこんな力があると思われた程の死力を出して引っ張ったのであると、後に板倉は語った)ここへ掴まってらっしゃい、僕と同じようにしてと、又板倉が云った。妙子は彼のしている通りに、両手を伸ばして藤棚の縁に掴まったけれども、室内にいた時よりはずっと危険で、今にも流されそうであった。