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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《細雪(ささめゆき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 頁

青空文庫

、玄関まではなお相当に急な石段を幾階も上らねばならず、玄関から又二階の階段を上るのであった。幸子は貞之助に労わられつつ後れてゆっくり上って行ったが、二階へ上り切ってしまうと、廊下に立って海の方を展望していた野村が、そんなことには無頓着に、

「どうです蒔岡さん、此処はなかなか見晴らしがいいでしょう」

と、ひどく上機嫌な声で云った。すると、並んで立っていた陣場が、

「成る程、これはいい所をお見つけになりましたな」

と、合槌を打った。

「此処から港町を瞰おろしておりますと、ちょっと長崎へ参ったような異国情調を感じますな」

「そうですそうです、ほんとうに長崎の感じです」

「わたくし、南京町の支那料理屋へはよく参りますのですが、神戸にこう云う家があるとは存じませんでした」

「此処は県庁に近いもんですから、僕等は始終やって来るんです。ちょっと料理も旨いんでしてね」

「ああ、左様で。………それに異国情調と申せば、この建物が何処か支那の港町にあるような建て方で、変っているじゃございませんか。支那人の経営している支那料理屋と云うと、兎角殺風景なものが多うございますが、この欄干や欄間の彫刻と云い、部屋の中の装飾と云い、特色があって面白うございますな」