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びのにほんてきげんせん
美の日本的源泉
高村 光太郎
線上閱讀高村 光太郎《美の日本的源泉(びのにほんてきげんせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,919 字 · 25 頁
この所謂弘仁期直前に製作せられた一木造りの如来像は世間普通には晩唐様式の模倣であってむしろ日本的性格の甚だ少いそれゆえ其様式もあまり永続きしなかったものとして考えられている。一応尤もなのであるが、さてその晩唐の本家たる大陸にこれだけの内容と技術とを持った優れた仏像は無い。その晩唐様式の影響というのは唯わずかに衣襞の線条の形式や全体の様式の形骸にとどまっていて、その生命とするところは晩唐のだらけた駄作とは根本的に正反対である。概して多くの写真は撮影のかげんで殆どその面影もわからないのであるが、此像の持つ真剣な原始力は世界に類を求め難いほど特異なものである。飛鳥白鳳や天平にもなかった精神内奥の陰影がその形象の上に深く刻みつけられている。刀刃を以て木材を刻み彫り成すことに造型の心理的意味が加わり、この棒立ちの薬師如来に精神形象の具体化が生れた。意力の発現がこれほど真摯に行われているものは少い。美の切実性は日本からこそ起るのが当然である。われわれは今斯の如き芸術を求める。われわれの祖先は斯の如きものを遺した。これを美の日本的源泉の一つとするかせぬかは、われわれ自身の意力の厚薄如何にかかっている。