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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

線上閱讀岩野 泡鳴《耽溺(たんでき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,597 字 · 110 頁

青空文庫

と言うのを、

「なアに、ふたりとも利口なたちだから、おぼえがよくッて末頼もしい」と、僕は讃めてやった。

「おッ母さん、実は気が欝して来たんで、一杯飲ましてもらいたいんです、どッかいい座敷を一つ開けてもらいましょうか?」

「それはありがとうござります」と、お貞はお君に目くばせしながら、

「風通しのええ二階の三番がよかろ。あすこへ御案内おし」

「なアに、どこでもいいですよ」と、僕は立ってお君さんについて行った。煙草盆が来た、改めてお茶が出た。

「何をおあがりなさいます」と、お君のおきまり文句らしいのを聴くと、僕が西洋人なら僕の教えた片言を試みるのだろうと思われて、何だか厭な、小癪な娘だという考えが浮んだ。僕はいい加減に見つくろって出すように命じ、巻煙草をくわえて寝ころんだ。

まず海苔が出て、お君がちょっと酌をして立った跡で、ちびりちびり飲んでいると二、三品は揃って、そこへお貞が相手に出て来た。

「お独りではお寂しかろ、婆々アでもお相手致しましょう」

「結構です、まア一杯」と、僕は盃をさした。

婆さんはいろんな話をした。この家の二、三年前までは繁盛したことや、近ごろは一向客足が遠いことや、土地の人々の薄情なことや、世間で自家の欠点を指摘しているのは知らないで、勝手のいい泣き言ばかりが出た。