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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁
虎公と杉浦とは僕よりも一年上の級だったが、近所の柴山という老先生の私塾に通っていたので、虎公が杉浦を連れて来たのだった。谷は僕よりも一年下だった。
本読みの僕はいつもみんなの牛耳をとっていた。僕は友人のほとんど誰よりも早くから『少年世界』を読んでいた。そしてある妙な本屋と知合いになって、そこからいろんな本を買って来て読んでいた。修身の逸話を集めた翻訳物のようなのも持っていた。また誰も知らない、四、五冊続きの大きな作文の本も持っていた。そうした雑誌や書物からそっと持って来た僕の演説や作文はみんなの喝采を呼ばずにはおかなかった。
新発田から三、四里西南の水原という町に、中村万松堂という本屋があった。そこの小僧だか番頭だかが、新発田に来て、ある裏長屋のようなところに住んでいた。それをどうして知ったのか、僕がたぶんほとんど最初のお客となって、何かの本を買いに行った。店も何にもなくて、ただ座敷の隅に数十冊の本を並べてあっただけだった。しかし、それまで本屋というもののまるでなかった、ただある一軒の雑貨屋が教科書と文房具との店を兼ねていただけの新発田では、それでも十分豊富な本屋だったのだ。