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じじょでん

自叙伝

大杉 栄

線上閱讀大杉 栄《自叙伝(じじょでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,021 字 · 230 頁

青空文庫

そして僕が十五の時、幼年学校にはいるんで名古屋へ行った時、第一にこの老人に会うようにと父から言いつけられて行った。

父には二人兄があった。長兄は猪といって、宇治の家を継いで、村長などをやっていた。次のは一昌といって、名古屋にいたが、そして僕が幼年学校にいた間はずいぶん世話にもなったが、何をしていたのか僕には分らなかった。折々裁判所へ出かけて行くらしいので、僕は高利貸かなとも思っていた。

お祖父さんにはどのくらい財産があったのか知らないが、その死ぬ時に、この二人の伯父と父との間にそれが分配されたらしい。そして父の分は猪伯父が管理していたのだが、伯父がいろんな事業に手を出して失敗して、自分のは勿論父の分までも無くしてしまった。

「あれがあれば、お前達二人や三人の学費くらいは楽に出るんだったがね。」

母はよくこう言っては愚痴っていた。

たぶんそんなことからだろうと思うが、父は猪伯父のことをあまり面白く思っていなかったらしい。一昌伯父についてもやはり同じようだった。

そして父や母がほんとうに親戚らしくつきあっていたのは、山田の伯母一家だけらしかった。そしてまた、僕が多少の影響を受けているのも、この山田一家からだけらしい。