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えんしょ

艶書

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《艶書(えんしょ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,027 字 · 50 頁

青空文庫

ということが書いてあった。

その手紙を読みながら、彼はふとその文字に見覚えがあるような気がした。そして同時に、「艶書のぬし」という半兵衛の言葉を思いだした。

「まさか」と彼は呟やいた、「まさかそんなことが」

出三郎は立っていって、机のひきだしをあけ、あのときの艶書をさがした。捨てた記憶はない、ひきだしの中へ突っ込んだように思う。しかしひきだしにはなかった。彼は郷土誌の記録や、筆記帳を取り出し、一冊ずつ入念にめくっていった。すると、ごく初期の筆記帳の中からそれが出て来た。半兵衛にみつかったとき、その帳面にはさんだものであろう。――彼はすぐにその艶書をひらいて、七重の手紙と比べてみた。

筆跡は似ているようでもあり、似ていないようでもあった。八年という年月がたっているから、同じ人の文字でも変わるのが当然である。むしろ七重のは、艶書のそれよりも幾らか下手にみえた。出三郎はふと思いついて、その二通を裏返しにし、日に透かして裏から比べてみた。筆癖は裏から見るとはっきりすることがある、彼は資料集めをするときに、よく古文書を同じ方法で判別したことがあった。

「似ている字もある、おとはのくずし方はそっくりだ」