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くさまくら
草枕
線上閱讀夏目 漱石《草枕(くさまくら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 頁
いよいよ現実世界へ引きずり出された。汽車の見える所を現実世界と云う。汽車ほど二十世紀の文明を代表するものはあるまい。何百と云う人間を同じ箱へ詰めて轟と通る。情け容赦はない。詰め込まれた人間は皆同程度の速力で、同一の停車場へとまってそうして、同様に蒸の恩沢に浴さねばならぬ。人は汽車へ乗ると云う。余は積み込まれると云う。人は汽車で行くと云う。余は運搬されると云う。汽車ほど個性を軽蔑したものはない。文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によってこの個性を踏み付けようとする。一人前何坪何合かの地面を与えて、この地面のうちでは寝るとも起きるとも勝手にせよと云うのが現今の文明である。同時にこの何坪何合の周囲に鉄柵を設けて、これよりさきへは一歩も出てはならぬぞと威嚇かすのが現今の文明である。何坪何合のうちで自由を擅にしたものが、この鉄柵外にも自由を擅にしたくなるのは自然の勢である。憐むべき文明の国民は日夜にこの鉄柵に噛みついて咆哮している。文明は個人に自由を与えて虎のごとく猛からしめたる後、これを檻穽の内に投げ込んで、天下の平和を維持しつつある。