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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《草迷宮(くさめいきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,733 字 · 142 頁
二人とも尻餅じゃ。
(ど、どうした野郎、)と小腹も立つ、爺どのが恐怖紛れに、がならっしゃると、早や、変でござりましたげな、きょろん、とした眼の見据えて、私が爺の宰八の顔をじろり。
(ば、ば、ば、)
(ええ!)
(怪物!)と云うかと思うと、ひょいと立って、またばたばたと十足ばかり、駆戻って、うつむけに突んのめったげにござりまして、のう。
爺どのは二度吃驚、起ちかけた膝がまたがっくりと地面へ崩れて、ほっと太い呼吸さついた。かっとなって浪の音も聞えませぬ。それでいて――寂然として、海ばかり動きます耳に響いて、秋谷へ近路のその山づたい。鈴虫が音を立てると、露が溢れますような、佳い声で、そして物凄う、
(ここはどこの細道じゃ、
細道じゃ。
天神さんの細道じゃ、
細道じゃ。
少し通して下さんせ、下さんせ。)
とあわれに寂しく、貴女の声で聞えました。
その声が遠くなります、山の上を、薄綿で包みますように、雲が白くかかりますと、音が先へ、颯あ――とたよりない雨が、海の方へ降って来て、お声は山のうらかけて、遠くなって行きますげな。
前刻見た兎の毛の雲じゃ、一雨来ようと思うた癖に、こりゃ心ない、荷が濡れよう、と爺どのは駆けて戻って、がッたり車を曳出しながら、村はずれの小店からまず声をかけて、嘉吉めを見せにやり