輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《荷風随筆集(下)〔全2冊〕(しょうたく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,633 字 · 74 頁
わたしは小説たる事を口実として、観察の不備を補うに空想を以てする事の制作上甚危険である事を知っている。それがため適当なるモデルを得るの日まで、この制作を中止しようと思い定めた。
わたしはいかなる断篇たりともその稿を脱すれば、必亡友井上唖々子を招き、拙稿を朗読して子の批評を聴くことにしていた。これはわたしがまだ文壇に出ない時分からの習慣である。
唖々子は弱冠の頃式亭三馬の作と斎藤緑雨の文とを愛読し、他日二家にも劣らざる諷刺家たらんことを期していた人で、他人の文を見てその病弊を指するには頗る妙を得ていた。一葉女史の『たけくらべ』には「ぞかし」という語が幾個あるかと数え出した事もあれば、紅葉山人の諸作の中より同一の警句の再三重用せられているものを捜し出した事もあった。唖々子の眼より見て当時の文壇第一の悪文家は国木田独歩であった。
その年雪が降り出した或日の晩方から電車の運転手が同盟罷工を企てた事があった。尤わたしは終日外へ出なかったのでその事を知らなかったが、築地の路地裏にそろそろ芸者の車の出入しかける頃、突然唖々子が来訪して、蠣殻町の勤先からやむをえず雪中歩いて来た始末を語った。