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くさもみじ
荷風随筆集(下)
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《荷風随筆集(下)(くさもみじ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,512 字 · 63 頁
さして深甚の苦痛を感ぜずに捨てることができるものと思っているらしい。飲めない酒もそういう場合には忍んで快く飲むのが、免れがたき人間の義務となしているらしい。ここにおいてか、結婚は社交の苦痛を忍び得る人にして初めてこれを為し得るのである。社交を厭うものは妻帯をしないに越したことはない。わたくしは今日まで、幸にしておのれの好まざる俳優の演技を見ず、おのれの好まざる飲食物を口にせずしてすんだ。知人の婚礼にも葬式にも行かないので、歯の浮くような祝辞や弔辞を傾聴する苦痛を知らない。雅叙園に行ったこともなければ洋楽入の長唄を耳にしたこともない。これは偏に鰥居の賜だといわなければならない。
○
森鴎外先生が『礼儀小言』に死して墓をつくらなかった学者のことが説かれている。今わたくしがこれに倣って、死後に葬式も墓碣もいらないと言ったなら、生前自ら誇って学者となしていたと、誤解せられるかも知れない。それ故わたくしは先哲の異例に倣うとは言わない。唯死んでも葬式と墓とは無用だと言っておこう。
自動車の使用が盛になってから、今日では旧式の棺桶もなく、またこれを運ぶ駕籠もなくなった。