輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なおこ

菜穂子

堀 辰雄

線上閱讀堀 辰雄《菜穂子(なおこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,758 字 · 173 頁

青空文庫

が、その「半生」は最初の部分が発表されたきりで、とうとうそのまま投げ出されたようだった。それは何か私にはあの方の前途の多難なことを予感させるようでならなかった。

二月の末、森さんがその年になってからの初めてのお手紙を下さった。私の差し上げた年賀状にも返事の書けなかったお詫びやら、暮からずっと神経衰弱でお悩みになっていられることなど書き添えられ、それに何か雑誌の切り抜きのようなものを同封されていた。何気なくそれを披いてみると、それは或る年上の女に与えられた一聯の恋愛詩のようなものであった。何んだってこんなものを私のところにお送りになったのかしらといぶかりながら、ふと最後の一節、――「いかで惜しむべきほどのわが身かは。ただ憂ふ、君が名の……」という句を何んの事やら分らずに口ずさんでいるうち、これはひょっとすると私に宛てられたものかも知れないと思い出した。そう思うと、私は最初何んとも云えずばつの悪いような気がした。――それから今度は、それが若し本当にそうなのなら、こんなことをお書きになったりしては困ると云う、ごく世間並みの感情が私を支配し出した。……たとえ、そういうお気持がおありだったにせよ、そのままそっとしておいたら、誰も知らず、私も知らず、そして恐らくあの方自身も知らぬ間にそれは忘れ去られ、葬られてしまう