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おちてゆくせかい

落ちてゆく世界

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《落ちてゆく世界(おちてゆくせかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,725 字 · 40 頁

青空文庫

叔母が私の手を握って喜びました。二十年もの昔、巴里で仏蘭西人とブリッジをしたことがあると叔母はよく云いました。そして彼等の勝負好きの話や怒りっぽいことなどもききました。私達は弟のために勝負事をやめようと決心した翌日から又、やりだしておりました。隣から父がそのさわぎに遂々怒り出しました。

「はやくねろ、十一時すぎだぞ」

私達はこそこそと渡り廊下を渡って叔母達の室である茶室に退去しました。そこで一時頃までブリッジをつづけました。

「又明日、おやすみなさい」

私と信二郎は夜風のふき通しの渡り廊下を走るようにして戻って来ました。母はうすぐらいところで東京の叔母のところへ手紙をかいておりました。肩越しにのぞくと、私の結婚の依頼がながながとかかれてありました。私は苦笑しながら自分の部屋にはいり、ふと結婚についてかんがえだしました。二十五だという年齢がまっさきに頭に浮びます。婚期とは幾つにはじまって幾つに終るのか、ともかく私はもう若くもないと思っておりました。今迄、何をしていたのでしょう。同級の人達は随分お嫁に行ってます。子供までいる人も少なくありません。未だ一人でいる人は一人なりに学校の先生をするなり、会社で秘書をするなり、それぞれはっきりとした生き方をしております。