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あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《葦は見ていた(あしはみていた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,985 字 · 36 頁
ようなことになるかもしれないではございませんか」
「そんな心配をしたらきりがない」と計之介は云った、「私は一人っ子だが無事に育ったからね」
「もちろん譬えに申上げたのですわ」と深江は云った、「でも、そんな譬えはべつにしても、藤吉家くらいの身分でしたら、子供が三人や四人あってもおかしくはないと思うんですけれど」
「計算してみたことがあるか」
「計算ですって」
「五百三十石という食禄で、どれだけの生活をしなければならないか、ということをさ」計之介が云った、「子を生んで育てることは、日雇人足にもできるだろう、しかし成長した子供をどうする、日雇人足なら馬子にしても駕籠舁にしてもいい、だが武家ではそうはいかない、どんなに貧しくとも、武家では子供を馬子や駕籠舁にすることはできない、――おまえにもそれだけはわかるだろう」
深江は頭を垂れた。
「藤吉家を相続するのは一人、あとは養子にゆくか、さもなければ部屋住で一生を終るよりほかにしようがない」と計之介は云った、「もっと大身なら分知ということもできるが、五百三十石の中老では不可能だからな」
深江は寒けにおそわれたように、肩をそっとちぢめた。