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かいろこう
薤露行
線上閱讀夏目 漱石《薤露行(かいろこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,925 字 · 40 頁
――二人は一言も交わさぬ。ランスロットの何の思案に沈めるかは知らず、われは昼の試合のまたあるまじき派手やかさを偲ぶ。風渡る梢もなければ馬の沓の地を鳴らす音のみ高し。――路は分れて二筋となる」
「左へ切ればここまで十哩じゃ」と老人が物知り顔にいう。
「ランスロットは馬の頭を右へ立て直す」
「右? 右はシャロットへの本街道、十五哩は確かにあろう」これも老人の説明である。
「そのシャロットの方へ――後より呼ぶわれを顧みもせで轡を鳴らして去る。やむなくてわれも従う。不思議なるはわが馬を振り向けんとしたる時、前足を躍らしてあやしくも嘶ける事なり。嘶く声の果知らぬ夏野に、末広に消えて、馬の足掻の常の如く、わが手綱の思うままに運びし時は、ランスロットの影は、夜と共に微かなる奥に消えたり。――われは鞍を敲いて追う」
「追い付いてか」と父と妹は声を揃えて問う。
「追い付ける時は既に遅くあった。乗る馬の息の、闇押し分けて白く立ち上るを、いやがうえに鞭って長き路を一散に馳け通す。黒きもののそれかとも見ゆる影が、二丁ばかり先に現われたる時、われは肺を逆しまにしてランスロットと呼ぶ。