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あいがめ
藍瓶
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《藍瓶(あいがめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,676 字 · 10 頁
「往くよ」
「そいつはありがたい、伴れてってくれるか」
「じゃ飯を喫って往こう、お父さん喫ったのか」
「俺は喫いたくない、遅く蕎麦を喫ったのだから、ひもじけりゃ帰って来て喫うよ、お前達が喫うが宜い」
「じゃ喫おう」
二人は飯をはじめた。父親は黙りこくって坐っていた。
飯がすむと三人で家を出た。門燈のすくない街は暗かった。父親は二人の後からとぼとぼと体を運んでいた。
三人は黙黙として歩いた。郊外線の電車の線路には電燈がぼつぼつ点いていた。三人は踏切を越えて歩いた。
虫の声が一めんに聞こえていた。空にはまた一めんに雲がかかっていた。三人は彼の空地の前へ往った。
「ここを抜けて往こう、近いから」
順作はそう云って、すぐ己の背後にいる父親のほうを見た。
「そうか、そうか、近い路が宜いとも」
三人は空地の中へ入って往った。瓶の傍へ往ったとこで順作が足を止めた。
「お父さん」
「ほい」
「ちょと話がある」
「どんな話だ」
「ちょと蹲みなよ」
「宜いとも」
父親はそのままそこに蹲んだ。女はそっと父親の顔に注意した。左の腫れあがっている眼が青くきろきろと光って見えた。と、順作の体が動いて父親の小さな顔は順作の手にした物で包まれてしまった。