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いたどりとり
虎杖採り
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《虎杖採り(いたどりとり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,557 字 · 4 頁
閨秀画家の伊藤美代乃女史は、秋田の出身であるが、その女史が小さい時、それは晩春の事であった。某日隣の友達と裏の田圃へ出て、虎杖を採って遊んでいると、どこからともなく六十位の優しそうな老人が来て、
「わしにもおくれ」
と云うので、採っていた虎杖を二つ三つやると、老人は皮も除らないでべろりと喫ってしまって、また手を出して、
「もうすこし、おくれよ」
と云った。そこで又二つ三つやると、又ぺろりと喫ってしまって、直ぐ又手を出すので、子供だちはありったけの虎杖をやったが、老人は幾何喫っても喫いたりないと云うように喫って、
「わしは、虎杖が好きで好きでたまらない、どっさりある処へ伴れてっておくれ」
と云った。子供だちは舌切雀のお爺さんのような人の良さそうな老人に、すっかり懐いているので、
「杉林の方へ往くとあるわよ」
と云って、老人を伴れて汽車の線路づたいに往った。往っていると小溝が流れていた。子供だけは平生その小溝を飛び越えているので、老人と同時に飛び越えようとすると、老人は畝へべったりと坐りこんで、
「こんな大きな川は、わしには飛べない」
と云った。子供だちは老人の云う事があまりおおげさであるから、おかしくてたまらなかった。