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ぐびじんそう
虞美人草
線上閱讀夏目 漱石《虞美人草(ぐびじんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 頁
「実は井上先生の事だがね」
「おお、先生はどうしとるか。帰ってから、まだ尋ねる閑がないから、行かんが。君先生に逢うたら宜しく云うてくれ。ついでに御嬢さんにも」
浅井君はハハハハと高く笑った。ついでに欄干から胸をつき出して、涎のごとき唾を遥かの下に吐いた。
「その御嬢さんの事なんだが……」
「いよいよ結婚するか」
「君は気が早くっていけない。そう先へ云っちまっちゃあ……」と言葉を切って、しばらく麦畑を眺めていたが、たちまち手に持った吸殻を向へ投げた。白いカフスが七宝の夫婦釦と共にかしゃと鳴る。一寸に余る金が空を掠めて橋の袂に落ちた。落ちた煙は逆様に地から這い揚がる。
「もったいない事をするのう」と浅井君が云った。
「君本当に僕の云う事を聞いてくれるのかい」
「本当に聞いとる。それから」
「それからって、まだ何にも話しゃしないじゃないか。――金の工面はどうでもするが、君に折入って御願があるんだよ」
「だから話せ。京都からの知己じゃ。何でもしてやるぞ」
調子はだいぶ熱心である。小野さんは片肘を放して、ぐるりと浅井君の方へ向き直る。
「君ならやってくれるだろうと思って、実は君の帰るのを待っていたところだ」